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高森明勅
2014.12.30 00:06

女系容認で収拾がつかなくなる?

『週刊現代』(1月3日・10日合併号)に
「未来の天皇『
やっぱり愛子さまがいい』VS『当然、悠仁さま』」
という記事。

その中で明確に女系を排除する発言がある。

「もし、女系にまで皇位継承権を広げてしまったら、
収拾がつかなくなり、
必ず争いに繋がりますよ。
日本が根本から変わってしまうかもしれない」と(八木秀次氏)。

奇妙な意見だ。

端から皇室典範の存在を無視している。

明治時代に皇室典範が定められた最大の意義は何か?

皇位継承資格を明確化し、
皇位継承者の範囲とその継承順位を法的に確定することで、
皇位継承に伴う紛糾や争いが生じる余地を無くすことだ。

勿論、今の皇室典範も同様。

従って、皇室典範を改正して女系を容認しても、
典範がその存在意義を失わない限り、
「収拾がつかなくなり、
必ず(!)争いに繋がりますよ」
なんて話には、金輪際ならない。

また逆に、皇室典範が未だ無かった時代に、
事実上、
ほぼ男系の継承者に限定されていながら、
どれだけ多くの争いがあったかを振り返ってみれば良い
(無論、
それによって「日本が根本から変わってしまう」
などということは無かったが)。

今後も、もし皇室典範がその存在を無視され、
法的な権威を失う事態に陥れば、男系に限定していても、
直系と傍系その他の対立から「収拾がつかなくなる」可能性は
十分ある。

皇位継承を考える際に、
皇室典範の成立以後とそれより前を峻別するのは、
“イロハのイ”

むしろ皇室典範の意義を無視した議論こそ、
皇位の継承に紛糾と争いを呼び込むことを肝に命じるべきだ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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